眼鏡処方とは
眼鏡処方とは、屈折異常(近視、遠視、乱視)によって、日常生活に支障をきたしている方の視力に対して、眼鏡を装用することで矯正できるようにするための処方になります。屈折矯正の方法としては、眼鏡以外にもコンタクトレンズ、レーシックや有水晶体眼内レンズといった屈折矯正手術などがありますが、最も安価で装用が簡単、合併症のリスクが伴わないといった点からみた場合、眼鏡による視力矯正が最適です。
なお眼鏡の作成にあたっては、視力検査をする前に視力低下の原因が単なる屈折異常なのか、何らかの疾患によるものなのかをきちんと調べる必要がありますので、その検査をしてから眼の病気とは関係ない視力低下と確認できれば、視力検査(屈折異常の種類や度数 など)等を行います。また、以前に眼鏡を作成された方で度数が合わなくなってきた方もご相談ください。これを装用し続けることで、疲れ目や頭痛、肩こりを起こす原因となっていることがあります。なお、来院の際はその眼鏡もご持参ください。
眼鏡作成のための視力検査については、眼科医だけでなく在籍の視能訓練士も連携するなどして、より満足度の高い眼鏡処方に努めてまいります。なお屈折異常でも不正乱視、強度な屈折異常、不同視という場合は、眼鏡による矯正は不向きです。
眼鏡処方の大まかな流れ
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STEP 1
視力機能低下の原因を確認する検査(問診、眼の視診、眼圧検査 など)を行います。 -
STEP 2
屈折異常が原因と確認できたら、現状の視力を調べる検査(視力検査)が行われます。 -
STEP 3
眼鏡の度数に目途がつくと、試しの眼鏡がけをしていきます。 -
STEP 4
処方せんをお渡しします。 -
STEP 5
お好きな眼鏡店に処方せんをお持ちになって、眼鏡をご購入ください。
老眼とは
老視とも呼ばれますが、これは近視、遠視、乱視のような屈折異常が原因ではなく、加齢によって毛様体調節機能(様々な距離の対象に焦点を合わせられる機能)が低下している状態で、年をとればとるほど近くが見えにくくなります。
老眼と診断された場合は、調整力が足りていない部分を補うための老眼鏡(凸レンズ)を使用することで、困難とされていた近方視も見やすくなっていきます。
近視、遠視、乱視とは
無調整状態で遠くを見た場合に眼の中に入ってくる光が、角膜と水晶体を通過して、網膜上で焦点が合っている屈折状態を正視と言います。これは、ものが鮮明に見えている状態です。ただ網膜上に焦点が合わないことで、ものがくっきりと見えなくなることがあります。これを屈折異常というのですが、その種類には近視、遠視、乱視があります。
近視
角膜から網膜までの長さを眼軸長と言うのですが、この長さに対して屈折力が強くなってしまうことで、網膜上よりも前方に焦点(ピント)が合ってしまう状態を近視と言います。この場合は、遠くのものがぼやけて見えるようになります。なお、遠くでもはっきりものが見えるようにするには、凸レンズによる矯正が必要となります。なお近視の原因としては、遺伝のほか、環境要因(読書、スマホ、PCによるデスクワークなど、近くを見続ける作業)などが挙げられています。
遠視
眼軸長に対して屈折力が弱いことで、網膜上よりも後方に焦点(ピント)が合ってしまっている状態が遠視です。このような場合、近くのものが見えにくくなっており、屈折力を高めることで焦点が合うようになるのですが、その際に調節するための負担というのが大きく、そのことで眼精疲労などの症状を訴えるケースが少なくありません。そのような負担については、凸レンズを使用することで軽減させる方法もあります。
なお遠視は、眼軸長が短い乳幼児によくみられますが、この場合は成長と共に眼軸長も長くなるので解消されるようになります。多くの場合、6~7歳になると正視の状態になります。
乱視
乱視は、角膜がゆがむことで屈折力が一定とはならず、そのことによって焦点が一ヵ所に集まらなくなり、遠い、近いといった距離に関係なく、ぼやけて見えている(物が二重に見えている)状態を言います。なお乱視は正乱視と不正乱視に分類され、前者は角膜にゆがみはみられるが対称性があります。原因としては、先天性の角膜のゆがみ、加齢を起因とする目の調整力の低下が考えられます。後者は、不規則で角膜のゆがみが起きている状態です。この場合は眼の外傷、円錐角膜が原因で起きると言われています。
乱視を矯正する方法は主に2つあります。正乱視の場合は、円柱レンズと球面レンズを組み合わせた眼鏡あるいはコンタクトレンズによって矯正します。不正乱視の場合は、硬い素材のハードコンタクトレンズを使用することで矯正が可能となります。